体験型広告とは?ポップアップ・SNS連動・歩く広告までわかりやすく解説
2026/05/18
広告に触れる機会は、年々増えています。SNSを開けば広告が流れ、動画を見れば広告が入り、街を歩けばポスターやデジタルサイネージが目に入ります。
それだけ広告が増えている一方で、すべてがきちんと記憶に残っているかというと、そうとは限りません。むしろ情報量が多い今は、「見られること」と「覚えられること」はまったくの別物になっており、ただ表示させるだけでは認知に繋がりにくくなっています。
その中で注目されているのが、体験型広告です。
体験型広告とは、ただ情報を見せるのではなく、実際に触れてもらう、参加してもらう、写真を撮ってもらう、会話が生まれるといった体験を通じて、広告を印象に残しやすくする考え方です。
この記事では、体験型広告の意味を整理しながら、なぜ今注目されているのか、どのような種類があるのか、どんな企業やサービスと相性が良いのかまで、順を追って解説します。
体験型広告が注目されるのは、ある意味で自然な流れ
広告というと、多くの人はまず「見せるもの」を思い浮かべます。テレビCM、Web広告、動画広告、看板、チラシなどは、どれも情報を届けるための代表的な手段です。もちろん、こうした広告は今も重要であり、役割を失ったわけではありません。
ただ、情報があふれる今の環境では、表示されるだけでは足りない場面が増えています。生活者は毎日大量の情報に触れており、その多くを意識しないまま通り過ぎています。そう考えると、広告が「見せる」だけでなく、「関わってもらう」方向に広がっていくのはごく自然なことです。
体験型広告は、特別に新しい概念というより、今の広告環境に対して必然的に出てきた手法だと考えたほうがわかりやすいかもしれません。
体験型広告とは何か
体験型広告とは、生活者が広告に対して何らかの形で関わることを前提にした広告手法です。
ただ表示するのではなく、触れる、参加する、撮影する、共有する、話すといった行動まで含めて設計されている点に特徴があります。
従来の広告が「知ってもらうこと」を中心にしていたのに対して、体験型広告は「記憶に残すこと」や「感情を動かすこと」までを視野に入れています。広告そのものが、情報ではなく出来事に近づいているとも言えます。
従来の広告との違い
これに対して体験型広告は、生活者の反応や行動を前提にしています。たとえば、商品を試す、空間に入り込む、写真を撮る、SNSで共有する、誰かと話すといった動きが起きるように作られています。つまり、広告を見るだけで終わらせないことが大きな違いです。
体験型広告が記憶に残りやすい理由
人は、見聞きした情報そのものよりも、自分が関わった出来事のほうを覚えやすい傾向があります。
たとえば、ただ見た広告よりも、実際に触れた商品、写真を撮ったイベント、友人と話題にした体験のほうが記憶に残りやすいはずです。
体験型広告は、この性質を活かしています。
広告をただの情報としてではなく、小さな体験として受け取ってもらうことで、印象が残りやすくなるのです。
なぜ今、体験型広告が注目されているのか
体験型広告が注目される背景には、広告の見られ方そのものの変化があります。
以前よりも広告の接触機会は増えている一方で、生活者の注意は分散しやすくなっています。そのため、単純な露出だけでは十分な効果を出しにくい場面が増えました。
情報が多すぎて、表示されるだけでは埋もれやすい
今の広告は、広告同士だけで競っているわけではありません。SNSの投稿、ニュース、ショート動画、メッセージ、通知など、あらゆる情報と同じ画面の中で競争しています。
その結果、「表示された」という事実だけでは、以前ほど意味を持ちにくくなりました。
だからこそ、今は「何人に見られたか」だけでなく、「どれだけ立ち止まられたか」「どれだけ気に留められたか」という接触の質が重要になります。
SNS時代は“体験したくなる広告”が強い
SNSが浸透した今、人は自分が体験したことを写真や動画で共有するようになりました。
このとき拡散されやすいのは、単なる広告そのものではなく、撮りたくなる場面や話したくなる出来事です。
体験型広告は、このSNS時代と相性が良い手法です。
参加したくなる、共有したくなる、投稿したくなる設計があれば、広告はその場で終わらず、「リツイート」や「友達へのシェア」などで二次的に広がってい きます。
ブランド理解を深めやすい
体験型広告は、認知を広げるだけでなく、ブランドや商品の理解を深めやすいのも特徴です。
読むだけでは伝わりにくい魅力も、体験を通じてなら伝わりやすくなります。
特に、空気感や世界観、使用感のようなものが重要な商材では、情報だけで説明するより、体験してもらったほうが理解されやすい場合があります。
体験型広告の代表的な種類
体験型広告にはいくつかの型がありますが、特に代表的なのが、ポップアップイベント、SNS連動型施策、歩く広告・街頭型広告です。
それぞれ強みが異なるため、目的によって向き不向きがあります。
ポップアップイベント
ポップアップイベントは、期間限定の空間や店舗をつくり、ブランドや商品を直接体験してもらう施策です。
新商品の試食や試用、限定展示、ブランドの世界観を表現した空間づくりなどが代表例です。
この手法の強みは、広告を“空間ごと体験させられる”ことにあります。
オンライン広告では伝えにくい質感や雰囲気、世界観まで含めて感じてもらえるため、理解と共感が深まりやすくなります。
SNS連動型広告
SNS連動型広告は、リアルな体験とSNS上の拡散を組み合わせた手法です。
会場で撮った写真を投稿してもらう企画や、ハッシュタグ参加型のキャンペーン、UGA(User Generated Content=ユーザーが作ったコンテンツ)を生みやすい演出などがこれにあたります。
この手法は、参加者がそのまま発信者になる点が強みです。
企業からの一方通行の発信ではなく、生活者自身の投稿として広がるため、広告色が強くなりすぎず、自然な形で認知を広げやすくなります。
歩く広告・街頭型広告
歩く広告は、人の流れがある場所で接点をつくるタイプの体験型広告です。
たとえば、人が広告を背負って歩く、街頭で配布や会話を伴う、街中で視線を集める演出を行うなど、日常の動線の中に広告を入り込ませる手法がこれにあたります。
この手法の特徴は、広告を「表示」ではなく「出会い」に近づけられることです。
街の中で偶然目にする、少し気になって立ち止まる、写真を撮る、話しかける。こうした反応が起きると、広告は単なる情報ではなく、小さな体験になります。
なお、歩く広告の一例として、映像と人の動きを組み合わせたコミュニケーションメディアもあります。こうした手法は、単に見せるだけでなく、街中で接触をつくる広告として位置づけると理解しやすくなります。
体験型広告が向いている企業・サービス
体験型広告は、すべての業種に同じように向いているわけではありません。
ただし、体験によって魅力が伝わりやすいものとは相性が良い傾向があります。
向いている業種
コスメ、食品、アパレル、雑貨、観光、エンタメ、イベント、地域密着型店舗などは、体験型広告との親和性が高い代表例です。
実際に見たり触れたりすることで価値が伝わりやすいものは、体験型広告の強みが出やすくなります。
向いている目的
ブランド認知を広げたいとき、新商品の話題をつくりたいとき、来店のきっかけをつくりたいとき、SNS投稿を増やしたいときなどには、体験型広告が有効に働きやすいです。
特に、「そもそも知られていない」という課題がある場合には、表示回数だけでなく接触の質を高める手法として意味を持ちます。
体験型広告のメリット
体験型広告の価値は、単に目立つことではありません。
認知、理解、記憶、拡散までを一連で設計しやすい点にあります。
記憶に残りやすい
体験を伴うため、広告が出来事として記憶されやすくなります。
ただ見ただけの広告より、体験した広告のほうが思い出として残りやすいのは大きな強みです。
ブランド理解が深まりやすい
実際に触れたり、空間に入り込んだりすることで、ブランドの魅力や世界観が伝わりやすくなります。
説明文だけでは伝えにくい価値を補完できる点は、体験型広告の大きな利点です。
SNSや口コミに広がりやすい
写真や動画、感想投稿が自然に生まれやすいため、広告がその場で終わりません。
リアルな体験がオンライン上に流通することで、接触の幅が広がります。
体験型広告の注意点
体験型広告は強い手法ですが、やれば必ず成果が出るわけではありません。
設計が甘いと、「盛り上がっただけで終わる」状態にもなりやすいです。
面白いだけで終わることがある
もっとも多い失敗は、イベントとしては楽しかったのに、ブランドや商品が印象に残らないことです。
体験と訴求内容がつながっていないと、記憶に残るのは体験だけで、広告としての意味が弱くなります。
設計の難易度が高い
通常の広告よりも、導線、体験内容、撮影動機、接客、拡散導線まで考える必要があります。
そのため、単に派手なことをするのではなく、目的から逆算した設計が重要です。
商材によっては相性が分かれる
比較検討に時間がかかる複雑なサービスや、短い接点だけでは理解しづらい商材は、体験型広告単体だと効果が弱いことがあります。
その場合は、他の広告施策や営業導線と組み合わせる前提で考える必要があります。
体験型広告を成功させるために重要なこと
体験型広告は、派手さで決まるわけではありません。
大事なのは、「何のためにやるのか」が明確になっていることです。
目的を先に決める
認知拡大なのか、SNS投稿を増やしたいのか、来店を促したいのかによって、必要な体験は変わります。
目的が曖昧なままだと、企画全体もぼやけやすくなります。
体験とブランドをつなげる
体験が面白くても、それがなぜそのブランドらしいのかが伝わらなければ、事業成果にはつながりにくくなります。
体験の中に、商品やブランドの価値がきちんと埋め込まれていることが重要です。
体験後の導線を設計する
その場で終わらせず、SNSフォロー、来店、問い合わせ、購入など、次の行動につなげる設計が必要です。
ここが弱いと、話題になっても成果化しにくくなります。
まとめ|体験型広告は“記憶に残る接点”をつくる広告
体験型広告とは、商品やサービスをただ見せるのではなく、触れる、参加する、共有するといった体験を通じて、印象に残る接点をつくる広告手法です。
ポップアップイベントは空間体験に強く、SNS連動型広告は拡散に強く、歩く広告や街頭型広告は街の中で偶然の接点をつくる強みがあります。
広告があふれる時代だからこそ、ただ表示されるだけではなく、記憶に残ることの価値は高まっています。
もし、自社の課題が「そもそも知られていないこと」や「接触しても印象に残りにくいこと」にあるなら、体験型広告は十分に検討する価値があります。歩く広告のような手法も、その一つの選択肢として考えると、広告の見方が少し変わってくるはずです。


